HOW COLD IS A STRAWBERRY?

副題:いちご(15)の温度                                          以前住んでいた東京の友人へ送るメールの形で、学校生活中心に日々を綴る15歳のブログ。現在、京都在住。    書き始めは標準語だが、いつの間にか京都弁に変わってしまう。                        父親が娘の生活をこっそり見る気分になれる感じ。今のところ、1,200文字。

卒業式

 こっこ、元気?

 今日、中学校を卒業しました。去年よりずっと暖かい日差しの中、入学の時と同じ道を違う思いを持って学校まで歩いたよ。

事前の練習では、おじぎの際は三秒顔を上げないようにとかダルーって感じだったのに、本番では全員全てをビシッと決め、良い式だったと思う。学年主任も聞けば涙の瞬間があったとか。怖い先生だったけど、そういうもんなんだね。

それに日頃チャラチャラの女子もスカートの折り上げ(ミニを装うため)を元に戻していて、卒業証書を受け取りに壇上に上がる時、皆同じ膝の丈でチェックのプリーツが揺れているのが印象的だった。うちは中高一貫だけど、皆それぞれに思うところはあるわけだ。

 式が終わって教室に戻ると、担任が編集してくれたDVDを保護者と共に見るのがお約束。先生が一年間撮りためてくれた行事での写真や、ちょっとした日常のかけらが披露されるというわけ。カーテンを閉めて皆一心にスクリーンに見入る。

文化祭の準備と苦労した甲斐あった表彰式、体育祭、研修旅行、、。爆笑したり、からかい合ったり。こんな人がこんな表情を見せてるんだ、この時は笑ったな~、えっ何この写真知らない!なんて騒ぎながらも見ているうちに、

“ああ、こうやっている今も、このクラスが離れ離れになる瞬間が近づいている”と思ってせつない気持ちになったよ。つまりうちのクラスは最高だったっていうこと。

 保護者の方々もいつしか涙で、ハンカチを取り出す音があちこちに増える。男子のお母さんが主に泣いているのは、やっぱり家で学校のこと何も話をしてないからだろう。こんなに楽しくやってたのね。

良いお友達にちゃんと恵まれてたんじゃない!という声が聞こえるようだった。おい!男子、心配させないで今日くらいちゃんとお礼言えよってな気持ちになる。(とは帰宅後のママの発言)でも、最後は教室にいる人が皆晴れやかな顔になって、なんだか、区切りがつくってこんな感じで、やっぱり良いもんだと思った。

 生意気なことにわれら中三でもいっぱしに打ち上げを居酒屋でやる、といったらびっくりする?もちろん飲み放題はソフトドリンクで、禁煙席があるお店を選んで行くんだよ。今回はデキる男子が幹事をやってくれたんで、二転三転の要望変更にもすばやい対応。おかげで、おいしい料理とひろびろした綺麗な店内で写真を撮りまくったりしゃべったり…。それはそれは楽しかったよ。

 家に帰ってもまだ余韻が残っていて、親は話かけてくれるなって感じ出しちゃったけどそこは勘弁してもらいたい。水泳部の後輩に貰ったチューリップを眺めながら文集をめくる。今日撮った写真をもう一度見返したりも。

ああ、卒業したんだ私。

でも、ひとつ確信したことがあるよ。それはどんなに将来AIが発達したとしても、校長や理事長の挨拶は短くはならないってこと。むしろはなむけの言葉こそ肉声で届けなければと益々長くなるんじゃないかな?それだけはため息だね。